平成26年4月1日以降の返品・値引

平成26年4月1日以降の返品・値引等の処理はどうしたらいいの?

平成26年4月1日(以下、施行日)より消費税率が5%から8%にアップしますが、施行日前に販売された商品等の返品・値引については、本体価額に5%の消費税率が適用されることになっています。

施行日前に販売した商品が販売先から返品されたときは?
(1)経過措置の内容
 この場合は、改正法附則第11条において以下のように規定されています。
【改正法附則第11条(売上に係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除に関する経過措置)】
新消費税法第38条第1項に規定する事業者が、施行日前において行った課税資産の譲渡等につき、施行日以降に同項に規定する売上に係る対価の返還等をした場合には、当該売上に係る対価の返還等に係る同条の規定による消費税額の控除については、なお従前の例による。
 つまり、平成26年3月31日以前に販売した商品等について、同年4月1日以降に返品等を受けた場合、消費税率5%(旧税率)で売上に係る対価の返還等の規定により消費税額の控除を行うことになります。
(2)売上に係る対価の返還等の消費税等の処理
 売上に係る対価の返還等をした日の属する課税期間において、売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額を課税標準額に対する消費税額から控除することになっています(消法38)。ただし、継続処理を条件に、売上に係る対価の返還等の金額を課税資産の譲渡等の金額から直接控除することも認められています(消基通14-1-8)。

注意点
●施行日以降の返品処理においては、消費税率5%を適用する商品と8%を適用する商品が混在することになる。
●明らかに消費税率5%で処理しなければならない返品等について8%で処理した場合、税務調査で消費税額の納税不足が生じる可能性がある。

●売上に係る返品等に備えての対応策
得意先との間で返品を受けた商品等の税率に不一致がないように、得意先に発行する請求書等に返品等の対象となった商品等の適用税率を明記するなどの対応ができるように社内体制を整えておきましょう

施行日前に仕入れた商品等を仕入先に返品した時は?

(1)経過措置の内容
 この場合は、改正法附則第9条において以下のように規定されています。
【改正法附則第9条(仕入に係る対価の返還等を受けた場合の仕入に係る消費税額の控除の特例に関する経過措置)】
事業者が施行日前に行った課税仕入れにつき、施行日以降に新消費税法第32条第1項に規定する仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、当該課税仕入れに係る対価の返還等に係る同条の規定による仕入に係る消費税額の控除の計算については、なお従前の例による。
 つまり、平成26年3月31日以前に仕入れた商品等について、同年4月1日以降に返品等をした場合、消費税率5%で仕入に係る対価の返還等の規定により消費税額の控除を行うことになります。

(2)仕入に係る対価の返還等の消費税等の処理
 仕入に係る対価の返還等をした日の属する課税期間において、仕入に係る対価の返還等の金額に係る消費税額を課税仕入等の税額合計から控除することになっています(消法32)。ただし、継続処理を条件に、仕入に係る対価の返還等の金額を課税仕入の金額から直接控除することも認められています(消基通12-1-12)。

 仕入れた商品の返還等の処理は、原則として、返品等をした課税期間において、返品等の消費税額をその課税期間の課税仕入等に係る消費税額の合計から控除します。

●仕入に係る返品等に備えての対応策
仕入先等から交付された請求書等で、返品等した商品等について適用されている消費税率を確認しましょう。

施行日前に販売した商品等の代金が貸倒れになった時は?

貸倒れの消費税等の処理
 貸倒れについての消費税等の処理は、貸倒れが発生した課税期間において、貸倒金額に係る消費税額をその課税期間の課税売上の消費税額から控除することになります。
注意点
 売掛金等については、長期間の未回収になっている場合も考えられるので注意が必要です。長期間未回収の売掛金等については、販売時点を確認するようにしましょう。

●貸倒れに備えての対応策
 得意先元帳等を整備し、回収されていない個々の売掛金の特定が出来るようにしておきましょう。