月別アーカイブ: 2014年3月

間違えやすい消費税の処理

仕入先が施行日前に出荷した商品を施行日以降に受け取ると旧税率になる
 A社はB社から、着払いで仕入を行っていますが、B社は出荷時に売上を計上しています。
 たとえば、A社が発注した商品を、B社が平成26年3月31日に出荷し、A社で平成26年4月1日に受け取った場合、A社は新税率(8%)を適用して処理することになるのでしょうか?
●適用税率は?
 この場合、B社がA社に対して新税率施行日前に資産の譲渡を行ったことになり、出荷基準のB社は旧税率(5%)になります。
 したがって、A社でも旧税率の5%で仕入税額控除の計算を行うことになります。

月ごとに完了する保守サービスで施行日をまたいで終了する分の税率は新税率を適用
 ある会社は、コピー機の保守を年間(月額〇〇円)で契約しています。保守は、月ごと(20日締め)に作業報告書を作成し、保守料金を支払っています。
 この場合、施行日をまたぐ平成26年3月21日から平成26年4月20日までの保守サービスについて、適用される消費税率はどうなりますか?
●適用税率は?
 この場合の保守サービスの契約は、月ごとに完了するものと考えられます。
 したがって、平成26年3月21日から平成26年4月20日までの保守サービスの提供については、そのサービス提供が完了した日である事となり、4月20日時点の新税率8%が適用される事になります。

4月分の前家賃は新税率を適用(経過措置が適用される賃貸借契約を除く)
 〇社は、ビルの一室を借りています。消費税込の賃貸料を支払っていますが、施行日以降の消費税率はどうなるのでしょうか?
 賃貸料は当月末に翌月分を支払う「前家賃」となっています。
●適用税率は?
 下記の経過措置適用の要件を満たしている場合以外は、平成26年4月分、すなわち施行日以降の譲渡の貸付の対価として支払うものなので、前月の3月に支払う前家賃も新税率8%が適用されます。
 ただし、当月分を翌月末に支払う後家賃については、平成26年3月分・新税率施行日前の資産の貸付の対価ですので、支払日が施行日以降の4月であっても旧税率5%が適用されます。

●賃貸借で施行日以降も旧税率でもよい条件(経過措置の適用条件)
 【平成8年10月1日から平成25年9月30日】の間に結んだ賃貸借契約に基づいて、施行日前から同日以降引き続き賃貸を行っている場合で、次の要件①と②、または①と③を満たす必要があります。
①賃貸期間とその期間中の賃貸料の額が定められていること
②賃貸料の変更を求めることが出来る旨の定めがないこと
③解約の申し入れをすることが出来る旨の定めがなく、契約期間中の賃貸料の合計額がその建物の取得に要した費用の額等の90%以上であること

4月1日から一部の印紙税が引き下げられます

 印紙税法の一部が改正され、平成26年4月1日以降に作成される領収書等の非課税範囲が拡大される他、「不動産譲渡契約書」「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置が延長・拡大されます。

領収書等の金額が5万円未満なら非課税になります
 領収書等の「金銭又は有価証券の受取書」の印紙税額は現在、記載金額が3万円未満であれば非課税ですが、非課税の範囲が拡大され、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについては非課税になります。(記載金額が5万円以上の印紙税額は従来通りです)

●金銭又は有価証券の受取書とは
「金銭又は有価証券の受取書」とは、金銭又は有価証券を受領した者が、その受領事実を証明するために作成し、相手方に交付する証拠証書をいいます。 したがって、「領収証」、「領収書」、「受取書」や「レシート」はもちろんのこと、金銭又は有価証券の受領事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」、「了」などと記入したもの、さらには、「お買上票」などと称するもので、その作成の目的が金銭又は有価証券の受領事実を証明するために作成するものであるときは、金銭又は有価証券の受取書に該当します。

(注) 印紙税の納付の必要がない文書に誤って収入印紙を貼ったような場合には、所轄税務署長に過誤納となった文書の原本を提示し、過誤納の事実の確認を受けることにより印紙税の還付を受けることができます。
「領収証」等を取引の相手方に交付している場合でも、過誤納の事実の確認を受けるには、過誤納となった文書の原本を提示する必要がありますので、収入印紙を貼る際には誤りのないようご注意ください。

【領収書などの記載金額を判断する際に、消費税額を含むのかどうか?】
 消費税の課税事業者が消費税及び地方消費税(以下「消費税額等」といいます。)の課税対象取引に当たって課税文書を作成する場合に、消費税額等が区分記載されているとき又は、税込価格及び税抜価格が記載されていることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合には、その消費税額等は印紙税の記載金額に含めないこととされています。なお、この取扱いの適用がある課税文書は、次の三つに限られています。

◦第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)

◦第2号文書(請負に関する契約書)

◦第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)

(例)
◦商品代金 29,800円 消費税額1,490円 合計31,290円
と記載されている金銭の領収書は消費税額の1,490円は含みませんので、記載金額29,800円の第17号の文章になります、したがって記載金額が3万円未満の非課税文書となり、印紙税は課税されません。

◦合計金額31,290円 税抜金額29,800円
合計金額31,290円 消費税額1,490円
のように消費税額が容易に計算できる金銭の領収書などは、記載金額が3万円未満となり、印紙税は課税されません。

◦合計金額31,290円
合計金額31,290円 消費税5%含む
と記載されている金銭の領収書などは、消費税額が必ずしも明らかであるとは言えませんので、記載金額は31,290円と取り扱われ、収入印紙が必要になります。(平成26年4月1日以降に作成されるものについては5万円未満に非課税範囲が拡大されますので、収入印紙は不要になります。)

「不動産譲渡契約書」「建設工事請負契約書」の印紙税が軽減されます

 これまで契約金額が1,000万円を超える「不動産譲渡契約書」「建設工事請負契約書」については、印紙税の軽減措置が適用されていましたが、その措置が延長・拡充されます。平成26年4月1日以降作成される「不動産譲渡契約書」は10万円超から「建設工事請負契約書」は100万円超から軽減措置が適用され、印紙税額も引き下げられます。(平成30年3月31日まで)