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間違えやすい消費税の処理

仕入先が施行日前に出荷した商品を施行日以降に受け取ると旧税率になる
 A社はB社から、着払いで仕入を行っていますが、B社は出荷時に売上を計上しています。
 たとえば、A社が発注した商品を、B社が平成26年3月31日に出荷し、A社で平成26年4月1日に受け取った場合、A社は新税率(8%)を適用して処理することになるのでしょうか?
●適用税率は?
 この場合、B社がA社に対して新税率施行日前に資産の譲渡を行ったことになり、出荷基準のB社は旧税率(5%)になります。
 したがって、A社でも旧税率の5%で仕入税額控除の計算を行うことになります。

月ごとに完了する保守サービスで施行日をまたいで終了する分の税率は新税率を適用
 ある会社は、コピー機の保守を年間(月額〇〇円)で契約しています。保守は、月ごと(20日締め)に作業報告書を作成し、保守料金を支払っています。
 この場合、施行日をまたぐ平成26年3月21日から平成26年4月20日までの保守サービスについて、適用される消費税率はどうなりますか?
●適用税率は?
 この場合の保守サービスの契約は、月ごとに完了するものと考えられます。
 したがって、平成26年3月21日から平成26年4月20日までの保守サービスの提供については、そのサービス提供が完了した日である事となり、4月20日時点の新税率8%が適用される事になります。

4月分の前家賃は新税率を適用(経過措置が適用される賃貸借契約を除く)
 〇社は、ビルの一室を借りています。消費税込の賃貸料を支払っていますが、施行日以降の消費税率はどうなるのでしょうか?
 賃貸料は当月末に翌月分を支払う「前家賃」となっています。
●適用税率は?
 下記の経過措置適用の要件を満たしている場合以外は、平成26年4月分、すなわち施行日以降の譲渡の貸付の対価として支払うものなので、前月の3月に支払う前家賃も新税率8%が適用されます。
 ただし、当月分を翌月末に支払う後家賃については、平成26年3月分・新税率施行日前の資産の貸付の対価ですので、支払日が施行日以降の4月であっても旧税率5%が適用されます。

●賃貸借で施行日以降も旧税率でもよい条件(経過措置の適用条件)
 【平成8年10月1日から平成25年9月30日】の間に結んだ賃貸借契約に基づいて、施行日前から同日以降引き続き賃貸を行っている場合で、次の要件①と②、または①と③を満たす必要があります。
①賃貸期間とその期間中の賃貸料の額が定められていること
②賃貸料の変更を求めることが出来る旨の定めがないこと
③解約の申し入れをすることが出来る旨の定めがなく、契約期間中の賃貸料の合計額がその建物の取得に要した費用の額等の90%以上であること

4月1日から一部の印紙税が引き下げられます

 印紙税法の一部が改正され、平成26年4月1日以降に作成される領収書等の非課税範囲が拡大される他、「不動産譲渡契約書」「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置が延長・拡大されます。

領収書等の金額が5万円未満なら非課税になります
 領収書等の「金銭又は有価証券の受取書」の印紙税額は現在、記載金額が3万円未満であれば非課税ですが、非課税の範囲が拡大され、平成26年4月1日以降に作成されるものについては、受取金額が5万円未満のものについては非課税になります。(記載金額が5万円以上の印紙税額は従来通りです)

●金銭又は有価証券の受取書とは
「金銭又は有価証券の受取書」とは、金銭又は有価証券を受領した者が、その受領事実を証明するために作成し、相手方に交付する証拠証書をいいます。 したがって、「領収証」、「領収書」、「受取書」や「レシート」はもちろんのこと、金銭又は有価証券の受領事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」、「了」などと記入したもの、さらには、「お買上票」などと称するもので、その作成の目的が金銭又は有価証券の受領事実を証明するために作成するものであるときは、金銭又は有価証券の受取書に該当します。

(注) 印紙税の納付の必要がない文書に誤って収入印紙を貼ったような場合には、所轄税務署長に過誤納となった文書の原本を提示し、過誤納の事実の確認を受けることにより印紙税の還付を受けることができます。
「領収証」等を取引の相手方に交付している場合でも、過誤納の事実の確認を受けるには、過誤納となった文書の原本を提示する必要がありますので、収入印紙を貼る際には誤りのないようご注意ください。

【領収書などの記載金額を判断する際に、消費税額を含むのかどうか?】
 消費税の課税事業者が消費税及び地方消費税(以下「消費税額等」といいます。)の課税対象取引に当たって課税文書を作成する場合に、消費税額等が区分記載されているとき又は、税込価格及び税抜価格が記載されていることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合には、その消費税額等は印紙税の記載金額に含めないこととされています。なお、この取扱いの適用がある課税文書は、次の三つに限られています。

◦第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)

◦第2号文書(請負に関する契約書)

◦第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)

(例)
◦商品代金 29,800円 消費税額1,490円 合計31,290円
と記載されている金銭の領収書は消費税額の1,490円は含みませんので、記載金額29,800円の第17号の文章になります、したがって記載金額が3万円未満の非課税文書となり、印紙税は課税されません。

◦合計金額31,290円 税抜金額29,800円
合計金額31,290円 消費税額1,490円
のように消費税額が容易に計算できる金銭の領収書などは、記載金額が3万円未満となり、印紙税は課税されません。

◦合計金額31,290円
合計金額31,290円 消費税5%含む
と記載されている金銭の領収書などは、消費税額が必ずしも明らかであるとは言えませんので、記載金額は31,290円と取り扱われ、収入印紙が必要になります。(平成26年4月1日以降に作成されるものについては5万円未満に非課税範囲が拡大されますので、収入印紙は不要になります。)

「不動産譲渡契約書」「建設工事請負契約書」の印紙税が軽減されます

 これまで契約金額が1,000万円を超える「不動産譲渡契約書」「建設工事請負契約書」については、印紙税の軽減措置が適用されていましたが、その措置が延長・拡充されます。平成26年4月1日以降作成される「不動産譲渡契約書」は10万円超から「建設工事請負契約書」は100万円超から軽減措置が適用され、印紙税額も引き下げられます。(平成30年3月31日まで)

平成26年4月1日以降の返品・値引

平成26年4月1日以降の返品・値引等の処理はどうしたらいいの?

平成26年4月1日(以下、施行日)より消費税率が5%から8%にアップしますが、施行日前に販売された商品等の返品・値引については、本体価額に5%の消費税率が適用されることになっています。

施行日前に販売した商品が販売先から返品されたときは?
(1)経過措置の内容
 この場合は、改正法附則第11条において以下のように規定されています。
【改正法附則第11条(売上に係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除に関する経過措置)】
新消費税法第38条第1項に規定する事業者が、施行日前において行った課税資産の譲渡等につき、施行日以降に同項に規定する売上に係る対価の返還等をした場合には、当該売上に係る対価の返還等に係る同条の規定による消費税額の控除については、なお従前の例による。
 つまり、平成26年3月31日以前に販売した商品等について、同年4月1日以降に返品等を受けた場合、消費税率5%(旧税率)で売上に係る対価の返還等の規定により消費税額の控除を行うことになります。
(2)売上に係る対価の返還等の消費税等の処理
 売上に係る対価の返還等をした日の属する課税期間において、売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額を課税標準額に対する消費税額から控除することになっています(消法38)。ただし、継続処理を条件に、売上に係る対価の返還等の金額を課税資産の譲渡等の金額から直接控除することも認められています(消基通14-1-8)。

注意点
●施行日以降の返品処理においては、消費税率5%を適用する商品と8%を適用する商品が混在することになる。
●明らかに消費税率5%で処理しなければならない返品等について8%で処理した場合、税務調査で消費税額の納税不足が生じる可能性がある。

●売上に係る返品等に備えての対応策
得意先との間で返品を受けた商品等の税率に不一致がないように、得意先に発行する請求書等に返品等の対象となった商品等の適用税率を明記するなどの対応ができるように社内体制を整えておきましょう

施行日前に仕入れた商品等を仕入先に返品した時は?

(1)経過措置の内容
 この場合は、改正法附則第9条において以下のように規定されています。
【改正法附則第9条(仕入に係る対価の返還等を受けた場合の仕入に係る消費税額の控除の特例に関する経過措置)】
事業者が施行日前に行った課税仕入れにつき、施行日以降に新消費税法第32条第1項に規定する仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、当該課税仕入れに係る対価の返還等に係る同条の規定による仕入に係る消費税額の控除の計算については、なお従前の例による。
 つまり、平成26年3月31日以前に仕入れた商品等について、同年4月1日以降に返品等をした場合、消費税率5%で仕入に係る対価の返還等の規定により消費税額の控除を行うことになります。

(2)仕入に係る対価の返還等の消費税等の処理
 仕入に係る対価の返還等をした日の属する課税期間において、仕入に係る対価の返還等の金額に係る消費税額を課税仕入等の税額合計から控除することになっています(消法32)。ただし、継続処理を条件に、仕入に係る対価の返還等の金額を課税仕入の金額から直接控除することも認められています(消基通12-1-12)。

 仕入れた商品の返還等の処理は、原則として、返品等をした課税期間において、返品等の消費税額をその課税期間の課税仕入等に係る消費税額の合計から控除します。

●仕入に係る返品等に備えての対応策
仕入先等から交付された請求書等で、返品等した商品等について適用されている消費税率を確認しましょう。

施行日前に販売した商品等の代金が貸倒れになった時は?

貸倒れの消費税等の処理
 貸倒れについての消費税等の処理は、貸倒れが発生した課税期間において、貸倒金額に係る消費税額をその課税期間の課税売上の消費税額から控除することになります。
注意点
 売掛金等については、長期間の未回収になっている場合も考えられるので注意が必要です。長期間未回収の売掛金等については、販売時点を確認するようにしましょう。

●貸倒れに備えての対応策
 得意先元帳等を整備し、回収されていない個々の売掛金の特定が出来るようにしておきましょう。

所得税の確定申告

所得税の確定申告

平成26年2月17日(月)から3月17日(月)は、平成25年分所得税の確定申告期間です。個人事業者や不動産オーナーのほか、会社からの給与が2000万円超、2社以上から給与をもらっている人、医療費控除などを受け取る人、臨時収入などを含めて給与以外の収入があった人は確定申告が必要です。
※平成25年から平成49年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税を併せて申告・納付します。

確定申告が必要な人
(1)給与をもらっている人
 収入が勤務先の会社からの給与(2000万円以下)だけの人は通常、年末調整を行うことによって確定申告は不要です。確定申告をする必要があるのは、次のような人です。
 ①給与の年間収入金額が2000万円を超えている人
 ②2社以上から給与の支払いを受けている人
 ③給与のほかに臨時的な収入による所得が20万円を超える人
  例)●保険料を負担していた人が受け取る満期保険料、満期返戻金など
    ●配当収入・FX取引・外貨預金の為替差損益
    ●不動産や株式、ゴルフ会員権などの資産の売却収入
    ●年金の受給(申告が不要な人もいます)
※公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には申告は不要です。
 ④同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに、貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
(2)収入が給料以外の人
 ①資産の売却、配当、年金などによる収入がある人
 ②個人事業者や不動産の賃貸収入がある人(不動産オーナー)


■確定申告に必要な書類

 ○給与をもらっている人
     ◦給与の源泉徴収票
 ○保険金の受け取り(注1)
     ◦保険会社等から送られてきた計算明細書など金額がわかる資料
 ○年金の受け取り
     ◦年金等の源泉徴収票(注2)
 ○同族会社の貸付金利子や家賃収入
     ◦平成25年中に取得した貸付金利子や家賃年額の明細がわかるもの
 ○配当金
     ◦配当等の支払通知書
 ○FX・外貨預金等の為替差損益
     ◦取引報告書など差損益の明細がわかる書類
 ○不動産の売却
     ◦取得資産、譲渡資産のそれぞれの売買契約書
     ◦登記事項証明書 
     ◦譲渡資産の取得価額や譲渡費用がわかる資料(注3)
 ○株式の売却(申告が不要な場合有)
     ◦(上場株式)特定口座年間取引報告書 他 
     ◦(非上場株式)売買契約書、譲渡株式の所得価額のわかる資料
(注1)満期保険金を受領せず、受領を据置いた場合でも、満期支払期日の属する年度の所得として課税されます。病気やけがにより保険金を支払われる損害保険、いわゆる所得補償保険の保険金は非課税です。
(注2)年金等の源泉徴収票を紛失した場合、ねんきんダイヤルを通じて郵送で再交付を受けるか、近くの年金事務所に基礎年金番号のわかる書類を用意して再交付を受けてください。
(注3)譲渡資産の取得価額のわかる資料等がない場合、原則として概算取得費(譲渡価額の5%)によることになります。ただし、契約書・領収書等以外で実際の購入価額を証明できるものがある場合には、実額によって計算することが出来ます。


■個人事業者の確定申告に必要な書類等

  ◦会計帳簿(現金出納帳など)通帳、青色事業専従者給与の届出書など
  ◦売上や経費の確認資料(請求書控、支払調書、領収書、請求書、カードの利用明細など)
  ◦12月末日までの締め後の売上と経費の確認資料
  ◦棚卸表(税抜・税込の別を記入)
  ◦自家消費や家事関連費の明細書(売値・仕入値が記載されたもの)
  ◦保険会社から送られた生命保険料控除・地震保険料の控除証明書
  ◦国民年金保険料や国民年金基金については社会保険料控除証明書
  ◦小規模企業共済掛金払込明細書

確定申告をすれば税金の還付、所得控除が受けられる人

 ①平成25年度中にローンで住宅を購入または増改築した人(住宅ローン控除)
  ※住宅ローン控除の適用2年目以降は年末調整のみで、確定申告は不要です。
 ②年間10万円(又は一定額)を超える医療費を支払った人(医療費控除)
 ③災害(地震・風水害)や盗難などで財産に損失を被った人(雑損控除)
 ④国や地方公共団体等に寄付をした人(寄附金控除)

【医療費控除とは】
 医療費控除は、支払った医療費の実額が税金から控除(還付)されるのではなく、次の算式によって求められる医療費控除額を所得から差し引いて税金を計算します。例えば、医療費控除額が10万円の場合、所得が300万円の人は税金から控除(還付)される金額は1万円、所得が400万円の人は2万円になります。

支払った医療費ー保険金等による補てん額ー10万円=医療費控除額(最高200万円)

※所得が200万円以下の人は、所得金額×5%

【雑損控除とは?】
 雑損控除とは、災害や盗難による住宅・家財等の被害額の一定額を所得から控除するものです。
次の①②のどちらか多い方の金額を所得から控除して、所得税額を計算します。(注4)

①差引損失額ー総所得金額等×10%
②差引損失額のうち災害関連支出の金額ー5%
※差引損失額は、(損害金額+災害関連支出の金額-保険金等による補てん金額)で算出します。

(注4)損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以降(3年間が限度)に繰り越して、核燃の所得金額から控除することが出来ます。


■確定申告に必要な書類

 ○住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
   ◦住宅ローンの年末残高証明書
   ◦売買契約書、請負契約書の写し
   ◦住民票
   ◦登記事項証明書
 ○雑損控除
   ◦消防署の罹災証明など損害を受けたことの証明書
   ◦損失額の証明書(自身で作成)
   ◦災害の後片付け費用などの領収書
 ○医療費控除
   ◦医療費の領収書
   ◦保険金などで補てんされた金額のわかるもの
 ○寄附金控除
   ◦寄附金(ふるさと納税を含む)の領収書、証明書等

会計力をつけよう

売上債権回転期間を短縮する

1.売上債権回転期間の長期化に注意
 売上債権回転期間は、商品を仕入れてから販売するまでの期間をいい、期間が短い場合は、代金回収が効率よく行われており、資金繰りは楽になり、反対に機関が長い場合には、資金繰りが苦しいことを意味します。
 売上や利益は順調なのに、手元資金が少ないような場合は、売上債権回転期間が長くなっていることが考えられます。この場合、売掛金の請求漏れや回収漏れはないか、取引条件をチェックし、極端に長い条件などに改善の余地はないか、不良債権化しているものはないか、などをチェックします。
 売掛債権回転期間は、業種によって期間は様々ですが、一般に3か月を超えるような場合は、長いといえます。金融機関は、3か月を超えると、不良債権が混在しているのではないか、売上の架空計上があるのではないか、といった警戒心を抱きます。6か月を超えるような場合は、徹底的に調べられます。

2.売掛金の回収漏れはないか
 売上が順調な時ほど、売掛金の回収がおろそかになりがちです。また、売掛金の回収をおろそかにしている会社は金融機関からの信用も低くなります。

【売掛金の回収がおろそかになる会社の特徴】
 ・支払いがよくない(回収条件が悪い)会社であっても無理に販売する。
 ・社長が職人気質で、ものづくりには熱心だが、回収には無頓着である。
 ・回収遅れに対するチェック体制や対応方針がなく、責任の所在も曖昧になっている。
 ・大口や付き合いの長い取引先に対して弱腰すぎる。
 ・社長が情に流されやすい。
 ・営業マンの評価が、売上のみで、回収までが評価対象になっていない。

消費税対応

増税分の価格転嫁を確実に行おう

1.消費税の価格転嫁の仕組み
(1)消費税とは?
 消費税は、消費一般に広く公平に課税する間接税です。ほぼすべての国内における商品の販売、サービスの提供及び保税地域から引き取られる外国貨物を課税対象とし、取引の各段階ごとに現行では5%(うち1%は地方消費税)の税率で課税されます。
(2)消費是の負担者は?
 本編でも述べている通り、消費税は、事業者が負担するものではありません。税金分は事業者が販売する商品やサービスの価格に含まれて、次々と転嫁され、最終的に商品を消費し、またはサービスの提供を受ける消費者が負担することになります。
(3)消費税の申告・納付は事業者が行う
 消費時の納税義務者は、製造、卸、小売、サービスなどの各段階の事業者と、保税地域からの外国貨物の引取者です。納税義務者は、所轄の税務署長に消費税及び地方消費税の確定申告書を提出し、消費税額と地方消費税額とを併せて納付します。
 また、直前の課税期間の確定消費税額に基づき中間申告・納付をすることになります。

2.消費税の転嫁拒否等の行為を禁止
 「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(消費税転嫁対策特別措置法)の「消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置」については以下の通りです。
(1)対象となる事業者

①特定事業者(転嫁拒否等をする側:買手)
 ・大規模事業者
 ・特定供給事業者から継続して商品または役務の供給を受ける法人事業者
②特定供給事業者(転嫁拒否等される側:売手)
 ・大規模小売事業者に継続して商品または役務を供給する事業者
 ・資本金等の額が3億円以下の事業者
 ・個人事業者等

(2)特定事業者の遵守事項
 特定事業者は、特定供給業者に対し、以下に掲げる行為を行ってはならないとされています。

 ①消費税の転嫁拒否等の行為

  ア.減額、買いたたき
   ・商品または役務の対価の額を事後的に減額することにより、消費税の転嫁を拒否すること
   ・商品または役務の対価の額を通常支払われる対価に比べて低く定めることにより、消費税の転嫁を
    拒否すること
  イ.購入強制、役務の利用強制、不当な利益提供の強制
   ・消費税の転嫁に応じることと引換えに商品を購入させ、又は役務を利用させること
   ・消費税の転嫁に応じることと引換えに金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
  ウ.税抜き価格での交渉の拒否
   ・商品または役務の対価に係る交渉において消費税抜価格を用いる旨の申出を拒むこと

 ②報復行為

   特定供給事業者が公正取引委員会等に転嫁拒否等の行為に該当する事実を知らせたことを理由と
  して、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取り扱いをすること

年末調整に向けて

配偶者控除・扶養控除を受けるための注意点

年末調整の時期になると、経理担当者は、従業員から配偶者控除や扶養控除について聞かれる事が多いと思います。
※本欄では勤め人である夫(納税者本人)が妻や子供、親を配偶者控除・扶養控除の対象にできるかどうかの視点で説明します。

配偶者控除を受けるには、パート収入103万円の他に一時所得にも注意
(1)妻の年収が103万円以下の場合
 よく「103万円の壁」といわれるように、通常、(注1)がパート収入のみで他に収入がない場合、金額が103万円以下であれば、夫は自身の所得から配偶者控除(38万円)を受けることができます。また、妻の収入にも所得税はかかりません。
(注1)非課税とされる通勤交通費については収入に含めません。
(2)妻の年収が103万円を超えた場合
 妻のパート収入が103万円を超えてしまうと、夫は配偶者控除を受けられなくなり、妻本人の収入にも所得税がかかります。(注2)
 ただし、妻のパート収入が141万円未満であれば、夫の所得合計が1,000万円以下であるなど一定の要件を満たせば、夫は配偶者特別控除を受けることができます。
 また、妻の収入が130万円以上になると、夫の社会保険の扶養家(被扶養者)からもはずれてしまいます。
(注2)103万円を超えても、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除など一定の所得控除によって所得税がかからない場合もあります。
(3)103万円以下でも、その他の収入に注意
 パート収入は103万円以下であっても、例えば、生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金などの収入がある場合には、収入が合計で103万円を超えてしまうことがありますので、その他の収入の有無にも注意してください。
出産一時金は、課税対象ではないため、出産一時金を受け取っていても、収入103万円の計算には含まれません。

●「収入」と「所得」はどう違う
 「収入が103万円」ではなく、「所得が38万円」といわれることもありますが同じ意味です。ここでいう「収入」とは、給与の手取り額ではなく、源泉徴収などを行う前の金額のことを言います。
 この「収入」から所得税法上の控除である給与所得控除を差し引いた金額が「所得(※)(給与所得)」です。さらに所得から基礎控除38万円を差し引いたものが、税金がかかる課税所得になります。
※給与所得控除は、収入が180万円以下の場合は収入×40%。ただし65万円に満たない場合は65万円になります。

父母等の扶養控除を受けるには、公的年金収入等に注意
 父母・祖父母についても、一定の条件のもとで扶養控除を受けることができます。通常、父母等は公的年金収入がありますが、公的年金は、給与所得とは別に雑所得という所得に分類されます。
 父母等の収入が公的年金のみで、他に収入がなければ、父母等の年齢が満65歳以上の場合は公的年金収入が158万円以下、満65歳未満の場合は公的年金収入が108万円以下、であれば扶養控除が受けられます。
 最近、親を扶養家族として扶養控除の適用を受けていたところ、年金収入が多かったり、他にパート収入などがあったとして、後日、税務署から「扶養家族に該当しない」と指摘されるケースが増えていますので注意しましょう。
 このような場合、源泉所得税の徴収不足となるため、会社は従業員から不足分を徴収し、納めることになります。

子供のアルバイト収入の金額をきちんと確認する
 16歳以上の子供がいる場合、扶養控除を受けることができます。子供にアルバイト収入がある場合でも、妻のパート収入と同様に、年収103万円以下(所得38万円以下)であれば扶養控除が受けられます。この場合、子供本人の収入にも所得税はかかりません。
 しかし、親を扶養家族としている場合と同様に、子供のアルバイト収入の金額をきちんと確認しなかったために、本来は扶養控除が適用できないにもかかわらず、適用を受けてしまっていることがありますので、注意が必要です。

知っておきたい「新語・トレンド用語」

知っておきたい「新語・トレンド用語」

リファービッシュ品
「メーカー再生品」とも呼ばれ、初期不良などでメーカーに返品されたものを修理し、新品同様の状態で再出荷された商品のこと。
中古品扱いにはなるが、新品より3~4割も安く、メーカー保証が付くことで注目を集めている。

送りつけ商法
商品が突然強引に送り付けられる「送りつけ商法」の被害が増大している。「購入しなければならない」と勘違いした消費者に代金を支払わせようというもの。主に健康食品や医薬品が多く、他にもカニやホタテといった海産物など様々。被害者は70歳以上の女性が多いという。

キュレーションコマース
その道のプロ(キュレーター)が厳選した商品を毎月届けてくれる定期購入型サービス。
様々な情報があふれかえる現代、それらを独自の価値基準で選別、整理して販売する手法が注目されている。

ステッカーファインド
500円玉サイズのボタンステッカーをリモコンや鍵につけるだけ。「見あたらない」という時にスマホ専用アプリを開くと、ステッカーに内蔵されたアンテナが信号を発信する仕組み。
子どもの洋服につけて、迷子探索機にすることも可能。

限定正社員
正社員に比べ、勤務地や勤務内容を限定する制度。
雇用拡大のための制度で、正社員とほぼ同じ条件で、パートのように働けることは魅力的だが、不況時に解雇されるリスクが高いという懸念もある。

フルセグ
「ワンセグ」は地デジの電波帯域13セグメントの内、1セグメントを使った放送形式。残りの12セグメントをすべて使ったフルセグは画面の解像度が格段に優れているため、「フルセグTV」の発売によって、スマホの動画機能が注目を集めている。

マサイ族商標登録
マサイ族のブランドを守るべく、一人の長老が部族の知的財産を保護する団体を設立した。
ルイ・ヴィトンの「マサイ・ライン」のようにマサイ族からヒントを得たデザインなどもあるが、発展途上国の文化を無断使用してきた流れに終止符が打たれたと言える。

海水冷暖房
横浜・八景島シーパラダイスでは、一部の空調設備を更新し大気の代わりに海水を用いている。この海水熱の利用により、20%の省エネに成功した。
東日本大震災以降、海水熱を有効利用しようという意識が各企業で高まりつつある。

気を付けたい話し方 5つのクセ

 話し方には人それぞれ特徴があります。もし相手を不快にさせている癖があるなら改善したいものです。癖になっていることは、自分で気づいていないものなので、よくある「5つのクセ」を意識して気をつけるようにしましょう。

語尾が伸びる

女子高生の話し方をたとえに出すことが多いですが、「〇〇でぇ~」「〇〇にぃ~」というように語尾を伸ばして話すクセです。
ビジネスシーンでは、頼りないとか幼いという印象を与えてしまいます。

「改善法」
語尾をしっかり区切ることを意識します。それだけで大きく印象が変わります。

早口になる

早口の原因のひとつに「間」が取れていないことがあげられます。
聞き手を意識していないと「間」を作ることができず、一方通行の話し方という印象を持たれてしまいます。

「改善法」
相手をよく意識して話しましょう。例えば「こんにちは」とあいさつをした後には、相手からのあいさつがあるものです。同様に、話の途中でも、相手が話せるように間を取ることが大切です。

前置きが長い

本題に入るまでが長くなりすぎるクセです。聞き手は「何が言いたいのだろう」とイライラします。話が回りくどい人も同じような原因です。

「改善法」
伝えるポイントを整理しましょう。相手にとっては何が大切なことかが分からなくなります。

句点「。」が少ない

わかりやすい文章は、短いセンテンスで句点が打たれているものです。
話す時も同じ。句点「、」で文をつなげすぎると、何を言いたいのか伝わりづらくなります。

「改善法」
意識して短い文で「。」をつけて切るようにしましょう。その後に接続詞でつなげたほうが聞きやすくなります。
             例:~しましたが、~ ⇒ ~しました。でも~

話半分に聞く

相手がまだ話している途中で、「あーそういうことね」などと軽く返事をしてしまうクセです。
相手からすると「話を聞いてくれていない」という印象を持ってしまいます。

「改善法」
「それは~ってことですよね」といった言葉は、相手が話をまとめてからにします。
上司が部下の話を聞くときなどに多いので注意しましょう。

上手な話し方を実現するための声と表情
上手な話し方を実現するためには、言葉以外も大切です。

声のトーン

楽しい話をするときは声が高くなります。逆に暗い話をするときは声のトーンが落ちるものです。話題に合わせた声のトーンを心がけることも大切です。

口調

例えば、部下を叱るとき、褒めるとき、冗談を言うときと、すべて同じ口調では、気持ちが伝わりません。話題にあった口調で話すように心がけましょう。

視線

「目は口ほどにものを言う」ということわざがあるように、目は思いを伝える手段として有効です。「目を伏せない」「目を細めない」「じっと見つめすぎない」ことがコツです。
 ●目を伏せる・・・自信がないように見え、話に説得力がなくなる。
 ●目を細める・・・睨みつけるような、また何かたくらみがあるような印象を与える。
 ●見つめすぎる・・あまりに凝視すると、緊張感を高め、対立した感覚になる。

顔の向き

真剣に話をしているようでも、顔がそっぽを向いていたら熱心さは伝わりません。相手の顔に自分の顔を向けて話ししましょう。

※「TKCビジネスワンポイントニュース」2013-6月号付録資料より転載

今さら聞けない・・・・・

「実は知ったかぶりをしているビジネス用語ランキング」

 ある調査でのアンケート「ビジネスシーンでよく耳にしているものの意味が分からない言葉」で上位に入った言葉を紹介します。
 ただし、言葉の意味を知っていれば役に立ちますが、必要以上に使いすぎるのも考えもの。相手に分かりやすい平易な言葉を使うのも大事なことです。
1位「スキーム」
スキーム(英:scheme)は「枠組みを持った計画」や「計画を伴う枠組み」のこと。「組織立って」「継続的に」実行される点が、単純な計画や枠組みを表すフレームワークと異なるところです。

2位「イニシアチブを取る」
イニシアチブ(英:initiative)は「主導的」「先導力」のこと。
 自発的、率先、の意味でも使われます。

3位「マター」
マター(英:matter)は物質、事柄、問題、事態といった意味。
 人名や役職の後について「問題」あるいは「(問題の)原因」の意味で使われることが多いようです。「鈴木部長_ 」「総務_ 」

4位「バーター」
バーター(英:barter):物々交換を表すバーター取引が語源。
 交換、交換条件。取引先との交渉条件のこともあれば、部課内の仕事の貸し借りなどの日常語としても使われる。

5位「架電の件」
「架電」は「電話をかけること」という意味で、電話業界の用語です。
 また、古い時代に判例で使用されてから法律家、官公庁、一般企業と広まった説もあるようです。

6位「ポテンシャル」
ポテンシャル(英:potential)「潜在性」を意味する物理用語が語源。
 一般的には潜在能力の意味で使われることが多い。

7位「NR」
NRは和製英語ノーリターン(no return)の意味。
 外出→NRは「外出してそのまま会社に戻らずに直帰」の意味になります。

8位「ガラガラポン」
ガラガラポン:複雑になった問題を一から考え直すこと。

9位「ASAP」
ASAP:As soon as possibleの略で「できるだけ早く」の意味。
 「大至急」の意味で英文やメールなどで使われます。

10位「ペンディング」
ペンディング(英:pending):保留、未解決、宙ぶらりんという意味。問題を先延ばしにする後ろめたさをカタカナ語でごまかすために使われるようになったという説もあります。

※「TKCビジネスワンポイントニュース」2013-5月号 付録資料より転載