消費税対応

増税分の価格転嫁を確実に行おう

1.消費税の価格転嫁の仕組み
(1)消費税とは?
 消費税は、消費一般に広く公平に課税する間接税です。ほぼすべての国内における商品の販売、サービスの提供及び保税地域から引き取られる外国貨物を課税対象とし、取引の各段階ごとに現行では5%(うち1%は地方消費税)の税率で課税されます。
(2)消費是の負担者は?
 本編でも述べている通り、消費税は、事業者が負担するものではありません。税金分は事業者が販売する商品やサービスの価格に含まれて、次々と転嫁され、最終的に商品を消費し、またはサービスの提供を受ける消費者が負担することになります。
(3)消費税の申告・納付は事業者が行う
 消費時の納税義務者は、製造、卸、小売、サービスなどの各段階の事業者と、保税地域からの外国貨物の引取者です。納税義務者は、所轄の税務署長に消費税及び地方消費税の確定申告書を提出し、消費税額と地方消費税額とを併せて納付します。
 また、直前の課税期間の確定消費税額に基づき中間申告・納付をすることになります。

2.消費税の転嫁拒否等の行為を禁止
 「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(消費税転嫁対策特別措置法)の「消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置」については以下の通りです。
(1)対象となる事業者

①特定事業者(転嫁拒否等をする側:買手)
 ・大規模事業者
 ・特定供給事業者から継続して商品または役務の供給を受ける法人事業者
②特定供給事業者(転嫁拒否等される側:売手)
 ・大規模小売事業者に継続して商品または役務を供給する事業者
 ・資本金等の額が3億円以下の事業者
 ・個人事業者等

(2)特定事業者の遵守事項
 特定事業者は、特定供給業者に対し、以下に掲げる行為を行ってはならないとされています。

 ①消費税の転嫁拒否等の行為

  ア.減額、買いたたき
   ・商品または役務の対価の額を事後的に減額することにより、消費税の転嫁を拒否すること
   ・商品または役務の対価の額を通常支払われる対価に比べて低く定めることにより、消費税の転嫁を
    拒否すること
  イ.購入強制、役務の利用強制、不当な利益提供の強制
   ・消費税の転嫁に応じることと引換えに商品を購入させ、又は役務を利用させること
   ・消費税の転嫁に応じることと引換えに金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
  ウ.税抜き価格での交渉の拒否
   ・商品または役務の対価に係る交渉において消費税抜価格を用いる旨の申出を拒むこと

 ②報復行為

   特定供給事業者が公正取引委員会等に転嫁拒否等の行為に該当する事実を知らせたことを理由と
  して、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取り扱いをすること